【極上長湯サウンド】ISOLATION:Spangle call Lilli line を聴きました。
アルバム名:ISOLATION
アーティスト名:Spangle call Lilli line
発売日:2008年9月24日(Felicity)
収録曲
01.inc.
02.roam in octave
03.it remains to be seen
04.quiet warp
05.perspective
06.Russian Gorhic bold
07.short films
08.an
Spangle call Lilli lineとは
1998年結成、メンバー全員がデザイナーやカメラマンなど音楽とは別の仕事を持つ。どこか気だるげな、浮遊感漂う大坪のボーカルとやわらかくみずみずしいサウンドを特徴とする。アルバムごとに様々なジャンル、ルーツが見えるが、ポストロックとカテゴライズされているようだ。
とても「ピアノ」な長湯アルバム
「ポストロック」と言われて自分が思い浮かぶのは、海外ならTortoise、Godspeed You! Black Emperor、日本ならtoe、LITEあたりのバンドで、いわゆるインストバンド。ボーカル無しでやたらとドラムが上手い・・(ちょっと短絡的か 笑)まぁこの手の音楽は好き好んで聴きこんではいるのだが、今回のSpangle call Lilli line、特にこのアルバムに関しては上記のポストロックな印象は特に感じず。まぁポスト〜とかオルタナ〜とかのジャンルはジャンルがあってないようなもんで、無理やりカテゴライズするための便利呼び名でもあるので、深くは掘り下げないでおきます。
さて、この「ISOLATION」ですが、一言で言うと「やっと出会えたお風呂アルバム」自分は換気扇、電気を消して長時間湯船に浸かり体を温めるという行為を2日に1回行っているのだが、そんな長湯の共に最適なアルバムです。風呂場の中なので、ピアノが響く、大坪さんの若干ハスキーなボーカルがそのピアノに乗り、湯にも浸れるし、音像にもどっぷり浸れます。非常に心地よい。寝る前はenyaのようなα波飛びまくってる方が良いが、こちら風呂場にピッタリ。防水スピーカーをお持ちの方は是非。「ピアノが美しい 女性ボーカル」で検索したら一番上に出てきて欲しいアルバムですね。
レコメンド
ピアノ感が全面に出ている3曲をピックアップ。
tr1「inc.」
このバンドのボーカル、かろうじて日本語だとわかるけど、歌いまわしが英語みたいな感触です。ダイレクトに歌詞が入ってこない、ひとつの楽器として歌が存在している。そんな感じ。誰もいないオフィス街のビル群を挟み、夜空を眺める・・そんな風景が浮かびます。(聞いているのはお風呂ですが 笑)
ピアノとボーカルが優しく重なり、ストリングスとドラムが包み込むように途中から入ってきます。こちらも美しく、かつ都会的な風景を感じ取ることができます。
tr4「quiet warp」
ミニマルなピアノフレーズとキラキラしたエレクトリックサウンド。前述2曲がロック寄りならこちらは少しエレクトロニカな雰囲気ですね。
- アーティスト: Spangle call Lilli line
- 出版社/メーカー: SPACE SHOWER MUSIC
- 発売日: 2008/09/24
- メディア: CD
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【またちょっと影が増えました】愛のゆくえ:きのこ帝国 を聴きました。
アルバム名:愛のゆくえ
アーティスト名:きのこ帝国
発売日:2016年11月2日(EMI Records.)
収録曲
01. 愛のゆくえ
02. LAST DANCE
03. MOON WALK
04. Landscape
05. 夏の影
06. 雨上がり
07. 畦道で
08. 死がふたりをわかつまで
09. クライベイビー
きのこ帝国とは
2007年結成の男女2人ずつの4ピースバンド。2012年インディーズデビュー、2015年メジャーデビュー。バンド名は当時ギター担当のあーちゃんの格好がきのこのようだったことと、ゆらゆら帝国から名付けられた。
メジャー第2弾アルバム
共同プロデューサー&エンジニアにzAkを迎えた本作、zAk・・フィッシュマンズのエンジニア担当。ほう成程、確かにフィッシュマンズな空気感を感じます。ダブ的なアプローチって感じですかね。前作では鳴りを潜めていたシューゲイザーな感覚が少し戻ってきた印象を受けます。初期の頃のような感情のはけ口サウンドでは無く、1曲1曲サウンドスケープがくっきり写り込んだアルバムになっています。初期ファンには情念のたまり具合が物足りないかもしれないですが、あれはあれ、これはこれで聴いてみると良いアルバムだと思いますよ。
レコメンド
tr1「愛のゆくえ」
タイトルトラック。インディーズ時代に収録されていても違和感はなかったかもしれません、曲調やフィードバックノイズの使い方とか。ただ、ボーカル佐藤さんの声が昔と比べて圧倒的に変わっています。きっとどちらの歌い方もできるんでしょうが、昔の情念こもった傷つけられた女性って感じの歌い方と変わり、イノセントで無色透明な少女って感じの歌い方へと変化しています。まぁこれは前作でもそうでしたけど。
tr3「MOON WALK」
アプローチは違うかもしれませんが、マイブラにしろ、Rideにしろシューゲイザーと言われるバンドは深い音像を感じることができます。空間エフェクトを多用して壮大な風景を音で作っているんですね。そういう意味では深い深いイメージを与えてくれる曲です。佐藤さんのコーラスもいい感じでエフェクトされていて、お風呂の中とかで聴いてみたい曲です。
tr9「クライベイビー」
「なんにもいらないんだよ、君が生きていてくれれば」と歌い上げる姿には、「金属バッドで完全犯罪」と歌っていた面影がなくなってしまいましたね。人間は成長するんですね、歌の中の人間もきっと。
~愛のゆくえ
初期と比べボーカルの透明感が増しましたね。
【2016年一番聴いた一枚】ロンググッドバイ:きのこ帝国
アルバム名:ロンググッドバイ
アーティスト名:きのこ帝国
発売日:2013年12月4日(UK PROJECT)
収録曲
01. ロンググッドバイ
02. 海と花束
03. パラノイドパレード
04. FLOWER GIRL
05. MAKE L
きのこ帝国とは
2007年結成の男女2人ずつの4ピースバンド。2012年インディーズデビュー、2015年メジャーデビュー。バンド名は当時ギター担当のあーちゃんの格好がきのこのようだったことと、ゆらゆら帝国から名付けられた。
1stアルバムに続くミニアルバム
「渦になる」「eureka」に続くミニアルバム。5曲構成でありながらバリエーション豊かな曲構成。tr4のFLOWER GIRLを除けばギターポップというカテゴライズで充分いけるさわやかさを感じるミニアルバムです。今のところ一番好きな1枚かもしれません。
レコメンド
tr2「海と花束」
歌詞はもう何も考えたくないあきらめたって感じなのですが、スピード感とさわやかなメロディーがいいですね、車の中とかで聴いていたい曲。
tr3「パラノイドパレード」
好きだったあの人はいつかとは違う人と歩いているって歌詞。あの人との思い出は終わってもう見ることは無いはずだったのに、また視界に現れたあいつ・・とかリアルに考えたら恐ろしいですわ。昔付き合ってた子が全然知らない男と歩いてた・・とか実際ありましたが、意味なく凹みましたからね・・。歌詞の内容とアルバムジャケットのデザインからして、この曲がこのアルバムのテーマソングなのかな?
tr4「FLOWER GIRL」
この曲は・・後半が圧巻です。リリースするたびにアルバムとして進化してきましたが、しっかりとこれまでのキャリアを見事に消化した曲だと思います。最初から最後にかけてどんどん狂っていく様がいいですね。デイヴ・グロール的なドラム回しがいつ聴いてもいいなぁ。
~海と花束
背景が海になるところは少し泣きそうになります。
【金属バットで完全犯罪】eureka:きのこ帝国 を聴きました。
アルバム名:eureka
アーティスト名:きのこ帝国
発売日:2013年2月6日(UK PROJECT)
収録曲
01. 夜鷹
02. 平行世界
03. 春と修羅
04. 国道スロープ
05. ユーリカ
06. 風化する教室
07. Another Word
08. ミュージシャン
09. 明日にはすべてが終わるとして
きのこ帝国とは
2007年結成の男女2人ずつの4ピースバンド。2012年インディーズデビュー、2015年メジャーデビュー。バンド名は当時ギター担当のあーちゃんの格好がきのこのようだったことと、ゆらゆら帝国から名付けられた。
1stフルアルバム
今日もきのこ帝国です。なんせ今年一番聴いたバンドですので。順番的に「渦になる」の次にリリースされた音源になるのかな。前作はあまりに濃厚な内容だったのでミニアルバムって感じはしなかったのですが、「eureka」が初めてのフルレングスアルバムとなります。
ドロドロ感は前作よりすこし抑え気味、ただしかし深いところに連れてかれる。
フルアルバムの体裁だけにアルバム内の曲のバリエーションは前作より豊富になっています。tr3「春と修羅」t4「国道スロープ」で見せたナンバーガール好きオーラが出ている曲もありますが、アルバム全体にかかる空間系エフェクトな感じは、きのこ帝国をシューゲイザーと言わんとしているものでしょう。「殺してやろう」「間違った」「終わる」などダイレクトな単語は出るものの。絶望していたあの頃を振り返って、もうちょっと何とかしてやるかみたいな希望感も少しうかがえる歌詞が多くなっています。
レコメンド
tr2「平行世界」
あーちゃんの単音ギターリフがリズムに乗っかって心地よい。スローテンポでトリップな感覚を覚えます。
tr5「ユーリカ」
2回目の「ユーリカ」の言い方が良いですね(笑)這うようなベースに刻むようなドラムパターンとリズム隊がかっこいい曲
tr9「ミュージシャン」
”あなたはいつか消えていくだろうけど、それでも自分は大丈夫さ”と歌い上げる後半のクライマックス曲。
~ユーリカ
初期の代表曲といえるでしょう。最後の高揚感半端ない
【情念が渦を巻いています】渦になる:きのこ帝国 を聴きました。
アルバム名:渦になる
アーティスト名:きのこ帝国
発売日:2012年5月9日(UK PROJECT)
収録曲
2.退屈しのぎ
3.スクールフィクション
4.Girl Meets Number Girl
5.The Sea
6.夜が明けたら
7.足首
きのこ帝国とは
2007年結成の男女2人ずつの4ピースバンド。2012年インディーズデビュー、2015年メジャーデビュー。バンド名は当時ギター担当のあーちゃんの格好がきのこのようだったことと、ゆらゆら帝国から名付けられた。
このアルバムとの出会い
itunesで再生回数の多い曲順にソートしてみると、見事にこのアルバムの曲がいくつも上位に来ていました。2016年最も聴き込んだアルバムだと思います。
バンド名だけは「何かゆらゆら帝国に似た名前のシューゲイザーな音の女性ボーカルバンド」くらいの知識で知っていたのですが、初めて聴いたアルバムが確かメジャーデビューアルバムの「猫とアレルギー」でした。
前知識シューゲイザーなバンドのアルバムとして聴いてみたら、あれ?ってなったのを覚えています。まぁあれはあれで良いんですけどね。
そんな中、次に聴いたのが本作。ボーカルは同一人物なのに見事に声が違う。「猫とアレルギー」の透明感のある声から、なんか恨み節な感じ。当時仕事でかなりのストレスを背負っていたので、ショック療法と言うのでしょうか。やたらとその恨み節な歌声が心に馴染む馴染む・・。見事に2016年ヘビロアルバムナンバー1となっていました。
メランコリックを越えたドロドロな感情の捌け口
音源としては2012年発売の1stアルバム。個人的に捨て曲はないアルバムですが、湧き上がる感情の洪水を体現しているのはミディアム・スローテンポな曲。tr1「WHIRLPOOL」tr2「退屈しのぎ」、tr5「The Sea」、tr6「夜が明けたら」あたりです。元来「シューゲイザー」とは「ひたすら置いてある靴をぼーっと見ているような虚ろ気な表情」で演奏しているような音楽という意味があるそうなのですが、そう意味では見事にシューゲイザーしていますが、slowdiveやrideみたいなキラキラサウンドとは少し違います。荷物一つないワンルームマンションの窓際でほぼ夜になった夕方の空を座ってじっと眺めているような・・そんな音像が出てきます。ストイックに暗い。tr5の「許されたいから許すのは間違った思想、真っ暗な部屋で君にもらったお香をたこう」あたりとかドロドロの感情が行き着く先を表現していると思います。冒頭に「恨み節」と書きましたがボーカル佐藤さんの歌唱力はかなり高いです。歌うまい・・。すげー美人でもあります(笑
誰かが「森田童子+シューゲイザー」って例えできのこ帝国を語っていましたが、僕は「中島みゆき+初期Radiohead」って印象です。
~夜が明けたら
これは「中島みゆき+creep」かな(笑